始まりは軍事技術

19 世紀の終わり頃に登場したメカニカルシール。
ポンプや撹拌機などの回転機器で、圧力容器(ケーシング)を貫通する回転軸からの漏れ出しを、機械的にシールするしくみです。
軍事技術として研究・開発が進みましたが、化学工業を始めとした各種産業の高度化に促され、近年急速な進化を遂げています。

メカニカルシールの原理と基本構造

回転軸のシール機構には、「内部流体の漏れや外部からの異物侵入を防ぐ」「回転軸の運動(回転)を妨げない」ことが要求されます。メカニカルシールでは、回転する摺動環と固定された摺動環が接触しながら回転するしくみですから、その接触のしかたがポイント。
ピタリと密着してしまえば「漏れない」のですが、接触面の摩擦で「回らなく」なってしまいます。
あるのだけれども無い、無いのだけれどもある、ミクロン単位の隙間が必要なのです(隙間には流体が浸潤して潤滑の役目を果たしますが、大気側まで到達するのは蒸気程度です)。
さらに、摺動面は回転しますから全周均一な状態で接触できる精度が必要であり、内部流体の圧力変化にも対応が不可欠など、メカニカルシールが安定した性能を示すためにはさまざまなハードルをクリアしなければなりません。

代表的なメカニカルシールの構造

回転環 固定環

メカニカルシールの形式と分類

メカニカルシールは回転機器のサポート役。
装着される機器の用途や流体条件によって、様々な構造・方式が工夫・開発されています。

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